アイデンティティの混乱
境界性人格障害(または境界性人格障害傾向)で見られる症状の一つとして、アイデンティティの混乱があります。アイデンティティが混乱していると、自分が何をすべきか、どう考えれば良いのか、といった思考が定まらず、不安定な状態になります。人は、これまで重ねてきた体験や自分の中にある多面性を統合し、自分の全体像を認識することができます。しかし境界性人格障害(または境界性人格障害傾向)の人は、自分の全体像が認識できず、心の中に確かな自分がありません。自分の考えに自信が持てず、他人から見た評価をそのまま自分の評価として捉えてしまいます。他人の評価がそれぞれ異なるため、自分の存在意義について悩んでしまい、アイデンティティが混乱していくのです。
また、「良い自分」と「悪い自分」がはっきりと分かれていて、どちらかを認識している間は、もう一方が認識できなくなります。「良い自分」とは、誰からも愛されている、優れている、すべてがうまくいく、魅力的ですばらしい、そんな存在です。「悪い自分」とは、人に見捨てられる、なにもかもうまくいかない、容姿も醜い、そんな存在です。「良い自分」と「悪い自分」がコロコロ入れ替わり、それと一緒に、目標や価値観も変わってしまいます。
アイデンティティが混乱し、不安定な状態になると、状況によっては日常生活が困難となってきます。学生であれば不登校、引きこもり、社会人であれば無断欠勤、休職、対人関係の不安による退職、などの行動が見られるようになります。このような症状は境界性人格障害(または境界性人格障害傾向)だけに起こるものではありませんが、境界性人格障害(または境界性人格障害傾向)の人の場合は自覚していないことが多く、適切な治療を受けずに自分で解決しようとすることがあります。他人からの評価を恐れ、人と接することを嫌うため、積極的な治療は難しいのが現状です。時には、放置していても時間経過によって改善することがあります。しかし、悪化することも多く、中年期や老年期においても無視できない病気です。
トゥルーリソースカウンセリングオフィスでは、家族療法などを行い、本人が治療を受けなくても、回復させることができます。本人がカウンセリング・セラピーを受けなくても、周りの方が受けることで本人が変わっていきます。決してあきらめず、ぜひ、ご相談ください。
家族、パートナー、友人など
周りの方のためのカウンセリング
また、境界性人格障害(または境界性人格障害傾向)の方への対応、
家族、パートナー、恋人、友人知人の方のためのカウンセリングを行っております。