アダルトチルドレン(AC)
アダルトチルドレン(AC)とは、アルコール依存の親のもとで育ち大人になったという意味のACOA(Adult Children of Alcoholics)と、子どもが安心して生活できない緊張と不安をはらんだ家庭(機能不全家族)で育ち大人になったという意味のACOD(Adult Children of Dysfunctional family)、虐待する親のもとで育ち大人になったという意味のACOAP(Adult Children of abusive parents)があります。いずれも、親が親としての機能を果たしていない家族の機能不全家族で育った、幼少時代から親から正当な愛情を受けられず、身体的・精神・心理的虐待を受け続けて成人し、社会生活に対する違和感があったり子ども時代の心的ダメージに悩み、苦しみをもつ人々のことです。このアダルトチルドレン(AC)という言葉は診断名でもなければ、医学用語でもありません。苦しみを抱えた人々がたどりつく、ひとつの自覚です。この自覚を用いて、自分の苦しみや生きにくさの理由を理解し、自由な自分を取り戻していくのです。
アダルトチルドレン(AC)は、アルコール依存症をはじめとする依存症になったり、人格障害を引き起こしたり、リストカットをはじめとする自傷行為、摂食障害、ひきこもり、社会不安障害(SAD)、対人恐怖、うつ病などの抑うつ状態、虐待や暴力を振るう、共依存などさまざまな症状や問題のベースになります。家族とは子供にとって安全な場所であり、その中で子どもが自らの自己を充分に発達させることができることが健康な家族の機能です。これが機能不全家族になると、子どもを脅かしたり、子どもに責任を感じさせてしまったりする親がいて、子どもは一定の役割を押しつけられたり、親の価値観をむりやり押し付けられます。秘密やルールでがんじがらめの家族では、見たものをみなかったことにし、感じたことを感じなかったことにするという日常が行われています。その中で子どもは言葉にされないルールの中で、子どもの心の自己の発達はある段階で止まり、大人になってしまうのです。そしてその子どもの親も、子ども時代には同じように送り出されてきたのです。
機能不全家族は個々の家族を拘束して一定のルールのもとでの生活を強制し、個人のプライバシーを軽視します。その被害を受けるのが子どもたちで、親たちからあらゆる形で侵入され、自ら進んで拘束されるよい子になりがちです。子どもたちは苦しみを感じながらも、家族から離れられず、家族の現状を躍起になって守ろうとします。この努力が重ねられるうちに、子どもたちは機能不全家族を維持し続けるための一定の役割にはまりこみ、それを演じ続けることになります。こうした結果、自分の感情を感じることができなくなり、自分の欲望をもつことができません。自分の欲望を棚上げしたまま、他人の欲望を自己に取り入れる、それを自分の欲望のようにして生きている共依存者になってしまうのです。そして、強い見捨てられ不安があるために、周囲が期待しているように振舞ったり、誰かに必要とされようとするのです。誰かに必要とされる必要がある人が共依存です。とても強い見捨てられ不安にいつも脅かされているからです。自分の子どもに対して見捨てられ不安を感じると、自分が産んだ唯一の味方に見捨てられる恐怖から、それが暴力になり虐待になります。
アダルトチルドレン(AC)はトラウマ密接な関係があります。トラウマ体験とは、私たちは安心して暮らすために一定の秩序と関連性を見いだそうとしているなかに、安全を脅かすひびが入ってしまい、今まで抱いていた信頼を抱けなくなることです。たとえば、家庭内で母親からひどくしかられるというトラウマ体験をした人は、安心感がなくなり、他の人からも怒られるような感覚になります。そして人を遠ざけて孤独になったり、過剰に怒られないように振る舞ったり、その感覚を麻痺させたりするのです。ストレスの度合いが強いと、フラッシュバックという押し込められたものが戻ってくる感覚がおきます。そしてもう一度同じ状況へと再上演してしまうのです。でも感情が鈍麻しているので、抑うつ感などが出てくるのはずっと後になります。その時点でそれを訴えても、それはもともと持っていた病気やそのときのストレスとしてみなされてしまうのです。
アダルトチルドレン(AC)は、日常的なトラウマ体験によって作られます。アダルトチルドレン(AC)は病気ではないため、治療ではなく回復という言葉を使います。回復のためにはカウンセリング・セラピーが一番有効です。トゥルーリソースカウンセリングオフィスは、アダルトチルドレン(AC)からの回復のためのカウンセリング・セラピーを得意としています。カウンセリング・セラピーを行う中で、現在あなたが苦しんでいる症状が、自分を助けるための唯一の手段だったのだと気づくはずです。自分のことを理解し、認めることができれば、今まで自分を助けてくれていた症状を手放すことができます。そして、代わりに自分を助けてくれる手段が必ず見つかります。
また、親しい方がアダルトチルドレン(AC)である場合、周りの方が対応を変えることにより回復していきます。ご本人はもちろん、家族、パートナーの方の相談もお受けいたします。
家族、パートナー、友人など周りの方のためのカウンセリング
〈引用:アダルトチルドレンと家族 斎藤学〉
アダルトチルドレン(AC)の特徴
極端に自己評価が低く、自尊心が失われています。その結果、完璧主義になり、かえって何もできなくなってしまいます。責任をとらなすぎたり、取りすぎたり、最後までやりとげられなかったりします。
他人に自分の真価を知られることを恐れたり、恥じたり。自己愛が強いためです。自分が場の中心に置かれていないと寂しさを感じたり、怒ったりします。他人は頑固だといいます。
見捨てられるのが怖いため、断ることができません。本当のことを言った方が楽なときでも、嘘をついたりします。そのため、他人のいいなりになってしまい、トラブルに巻き込まれやすく、人間関係も長続きしません。
自己評価が低いため、人からいい評価を受けている気になれません。そのため、他人の言葉や振る舞いの背後にある悪意を読みとろうとします。
不安、悲しみ、寂しさ、怒りなどの感情を認知することが不得意で、それを表現することに恐怖さえ感じています。
楽しみを見いだすことが苦手で、楽しむことに罪悪感さえ抱いています。人がどう思うかが気になるので、本当に心から楽しむことができません。
楽しくないのに、楽しそうにしたり、怒っているのに気がつかないフリをします。自分自身にうそをつき、感情を押し殺しているのです。
必要に迫られて共依存的自己を身につけているので、そう振る舞うことが最大の方法だったために、苦しい状態でもそこから離れようとしないのです。
自己評価が低いため、あなたはそのままでいいのよというメッセージを聞き取ることができません、だからそれを聞きたいという欲望が渇望しているのです。あるがままの自分を受け入れられないので、自己に失望し寂しさを抱えています。そのため、愛を求める他人に怒りになって暴力になったり(虐待の始まり)、抑うつ感無気力感として表現されたり、喘息や過敏性腸症候群などの心身症として現れたり、過食、拒食、ギャンブル、薬物、アルコールなどの嗜癖の形で表されたりします。
親のために生きているので、親の期待からはずれたことを自覚すると自己処罰の感情にとらわれます。万引きやリストカットの原因です。万引きは、処罰されることを望んでいるのです。しかし、その愛する人へのメッセージを含んだ無意識なので自覚はありません。
寂しさは耐え難い苦痛のため、それを退屈感へと感情を鈍麻させます。そして嗜癖に走るのです。
離人感とは、自分が自分でないような感じです。だから理解されないと考えています。トゥルーリソースカウンセリングオフィスは、アダルトチルドレン(AC)からの回復のカウンセリングを得意としています。